2026年11月7日土曜日

大阪・梅田の編集室から

関関西PostKANSAI POST / 地域ニュース

編集部資料 / 第7版

A4 十二ページ

編集手引き 2026年版

この手引きは、関西Postの記者と編集者が取材、執筆、校閲の順序をそろえるために使う。六つの章と二つの付録で構成し、毎年11月に全文を見直す。記事の誤りを減らすための手順であり、読者にも公開している。

活字の箱と校正紙が並ぶ印刷作業台の版画
校正紙と活字の箱。初稿は今も紙に刷って読み合わせる。図版:関西Post写真部図版 03
01章

資料を先に読み、会見では質問を絞る

発表の当日に配られる資料で足りることは多い。会見は資料で埋まらない部分に使う。

府県の発表は、資料の配布と会見が同じ時間に始まる。編集部は配布資料を先に読み、数値の定義と時点を確認してから会場に入る。質問は二つまでに絞り、答えが資料にある場合は聞かない。

予算であれば、当初予算か補正予算か、一般会計か特別会計かを最初に確かめる。同じ「286億円」でも、補正の総額と財源の内訳では意味が違う。

確認:資料の日付、数値の時点、会計の区分を記事の冒頭で確認する。

02章

取材区域を一日二か所までに区切る

五府県を一度に回らない。移動の時間を取材の時間として数える。

大阪の編集室から神戸、京都、奈良、和歌山の庁舎までは、在来線でおおむね30分から1時間である。乗り換えと徒歩を含めると、往復で半日が消える。午前と午後に一か所ずつ、合わせて二か所を上限にする。

遠方の取材は、同じ方面の用件をまとめて日程を組む。和歌山県内の市町村は、県庁と市役所の距離が長い。車を使う場合は、駐車場の開場時刻を前日に確認する。

確認:移動時間、取材先の受付時刻、帰りの最終列車を日程表に書く。

03章

数字は時点と出典を一組で扱う

人口、面積、予算、輸送量は、それぞれ公表の周期が違う。

人口は住民基本台帳の基準日、面積は国土地理院の公表値、港湾の取扱量は港湾統計の確定値を使う。速報値しかない場合は、速報であることを本文に書く。

同じ記事に二つの時点の数字を並べるときは、それぞれの時点を明記する。比較をする場合は、差の理由を担当の記者が説明できる状態にする。

確認:数字ごとに、出典、基準日、速報か確定かを表にまとめる。

04章

地名と固有名詞は事業者の表記に合わせる

市町村名は正式名称、駅名と路線名は事業者の表記を優先する。

大阪府と大阪市、兵庫県と神戸市のように、府県と市が同じ名前の場合は、どちらを指すかを文中で明示する。見出しでは「府」と「市」を省略しない。

駅名は鉄道事業者の表記を使い、開業前の仮称は仮称と書く。文化財の名称は、管理者が公表している名称をそのまま使う。

確認:固有名詞の表記を、発表資料と事業者の公式表記で照合する。

05章

訂正は公開から24時間以内に出す

誤りを見つけたら、該当箇所と訂正の日時を同じページに残す。

誤りが判明した場合は、記事の末尾に訂正の欄を設け、誤っていた記述、正しい記述、訂正した日時を書く。本文を直すだけにして、履歴を消さない。

SNSに投稿した内容も同じ扱いにする。投稿を削除する場合は、削除した理由と訂正の内容を同じ媒体に残す。読者からの指摘は連絡フォームで受け付ける。

確認:訂正の欄、訂正日時、元の記述の三つが同じページにあるか確認する。

06章

写真と図版には撮影日と場所を付ける

画像は明るさとトリミングまで。加筆と合成はしない。

写真のキャプションには、撮影日、撮影場所、撮影者を入れる。提供を受けた写真は、提供者と提供日を書く。

図版は出典を明記し、数値を図形の大きさで表す場合は尺度をそろえる。地図は縮尺と方位を入れ、市町村界の出典を書く。

確認:キャプションの日付が記事の日付と矛盾していないか確認する。

付録 1

用語の扱い

予算と議会の用語は、初出の箇所で短く説明する。読者が同じ語を二つの意味で読まないようにするためである。

当初予算年度の始めに成立する予算。補正予算と区別して書く。
補正予算年度の途中で組む追加の予算。財源の内訳を確認する。
一般会計福祉、教育、土木など基本的な支出をまとめる会計。特別会計と分ける。
定例会条例で定めた時期に開く議会。府議会は2月、6月、9月、12月。
速報値集計の途中で公表する数値。確定値が出るまで本文に速報と書く。
確報値集計を終えた数値。速報値との差が大きい場合は理由を書く。

付録 2

改訂の履歴

変更は日付と版番号を添えて残す。古い版は編集室に保管し、必要なら写しを渡す。

2026年11月1日第7版。写真のキャプションに撮影者を加える章を追加。
2026年5月12日第6版。港湾統計の速報と確報の扱いを追記。
2025年11月3日第5版。訂正の公開期限を72時間から24時間に改める。
2025年4月8日第4版。移動の上限を一日三か所から二か所に改める。

次回の見直しは2027年11月。読者からの指摘は連絡フォームで受け付ける。

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手引きの運用は編集長が担当する。記者は入社時に全文を読み、半年ごとに読み直す。取材の失敗が起きた月は、原因を一章に書き足し、次の月の朝会で共有する。2026年版では、写真のキャプションに撮影者を加える章を新しく設けた。